〜ひろげたカイナはあまりのも・・〜
気が付けば・・あの頃には帰れない処まで歩いて来てしまったんだ。
ボクはただ動けずに立ち止まった侭。
永遠とも思われる環の中をグルグルと繰り返し、気付かずに流れていた。
もしかしたら自分自身の不甲斐無さに
何もかもを手放してしまえ・・。
と思っていたのかもしれない。分かっていながら僕自身が取り込まれる事を望んだのかもしれない。
それなのに・・・
僕は帰って来てしまった。またこの場所に。
もう、いいや。と思う自分と帰りたいと思う自分。
結局は、親兄妹たちの力に頼らないと戻れない自分は・・情けないったらありゃしない。
【母さんが言ってた。開さんは自信過剰なんだって。】
妹にすら見透かされてた性格に思わず笑いが零れた。
自信過剰・・。
僕には野望があったんだ。
いつかは自分の式神に・・。
違うんだ・・・父さん・・。
本当はただ・・・
僕はただ・・・
助けたかったんだ。
視えるのに見ない振りも。
聴こえてるのに聴こえない振りも・・
出来やしなかったんだ。
助けて。と伸ばされた手に・・僕は応えたかったんだ。
だけど
僕の腕は伸ばすのに・・届かないんだ。
広げた腕は余りにも頼りなかったんだ。
拾った傍からソレは・・零れ落ちていく・・。
あぁ・・何なんだよ。一体・・
だったら・・もう何もイラナイよ。初めからこんな事望まなかったら良かったのかな。
だけど・・・
きっとそれは出来なかったんだろうね、父さん。
アナタならわかるでしょ。僕の気持ち・・。