「もっと早くに君に逢てたら・・違ったかもしれへんな。」
冬の明け方の寂光の中・・熔けてしまいそうに一言零した。
夜の月灯りを残すかの様な銀糸が淡く見える。
「もっと早くに出会いたかったすね〜・・あなたと。」
朧掛った月夜の晩、ぽつり・・と男は呟いた。
月光を朝の光を称えた様な金糸に落とし。
二人の男が同じ言葉を違う時と場所で吐いた。
同じ想いを胸に抱き、決して変わらぬ流れを知りながら・・互いの最愛のモノへ。
そして共に同じ結末を迎える。
唇に薄い笑みを乗せると、ゆっくりと踵を返す。もう二度と振り返る事はしない。
この想いは消える事なく・・ゆっくりと己の中へ沈み込ませ標的を目指し歩き出す・・。
それが喩え間違っていようと・・歪んでいたとしても・・。
「雨がよう降らはりますなぁ。・・ホンマに行かはるん?」
「早くあなたも帰った方がいいっすよ。こんなトコ見られたら何言われるか分からないっすよ。」
その言葉にクツクツ・・と市丸は笑った。
「人の事、心配しとぉる場合じゃないんやろ?」
「まぁ、そうなんですけどね・・数少ない友人をこんな時くらい心配させて下さいよ。」
「友人なぁ・・悪戯仲間の間違いと違いますやろか?」
「モノは言い様と言いますからね。」
「ホンマ、口の減らないお人や。」
それはいつのことやったろうか?
きっと、そう言葉を寄越したあの人はその先の自分が見えていたのかもしれへん。
いつもの様な眠たそうな表情を向けて、突然ふらりと遊びに来て、帰っていった。
「一つ、アタシと最後の遊戯<ゲーム>をしませんか?
否、正確に言えば・・・遊戯に参加してみませんか?」
雲間に隠れた月影の中・・煌く金糸が光を失った。
男の薄い唇が歪んだ笑みを描く。
「最後の遊戯?・・えぇで、楽しいん?ボクは退屈が嫌いなんよ・・。」
連れれたかの様に酷薄は笑みがそっと影を射す。
「それなら丁度いい。」
最初に仕掛けたのはアタシでも君でもない。
アタシたち二人とも、その考えに乗っただけなんでしょうねぇ。
何もかも退屈で鬱屈で仕方なかったから。
貌ばかりの白い闇は・・姿の見えない黒い闇よりも性質が悪い。
きっと、何が正しいとか・・それが己の信念。信じる道だなんて思ったりはしてへん。
ただただ・・退屈。緩い微温湯に浸こうてるのが、耐えられのうなってきたんだと思う。
身動きが取れずに、今にも柔らかな真綿で首を絞められそうやったから・・。
だから・・<アタシ>/<ボク>は・・・その遊戯に参加した。
「ボクが風を吹かせて・・風車を回す。
くるくる、くるくる・・とな、汚いもん全部洗い流したはる。」
「そしたら、アタシが水車を回しましょう。
清くて力強い水達を打上げて、総てを洗い流させてやりますよ。」
互いに振り返りはしない。背を向けて歩き出す。
これがもしかしたら、最期の瞬間かもしれない・・同じ次元で存在することの。
だけど・・もう動き出してしまった。
参加してしまったからには・・後戻りも止まる事もできない。
この退屈で滑稽な世界を少し揺すってあげよう。
変わる事を嫌う温い世界を少しだけ・・。
ほら・・聴こえて来た。軋みを上げた滑車の音が。
ギシギシ・・ギシギシ・・と
世界は動き出した。
ソレを合図にして・・・。
共犯だろうと構いはしない。
「ほら、君にも聴こえるやろ・・錆びた滑車の動き出す音が・・。日番谷はん。」
一人は睨み上げる相手を目の前に呟く。
「もう遅いっすよ・・流動き出した滑車は止まりやしませんっすよ。黒崎サン。」
また片方は彼等の消えていった先の空を見詰めた零す。
自分らが仕掛けた遊戯。
・・予定外因子の出現は否めない。
だけど・・止める気なんてもう無い。
動き出したソレは自分等の手を離れはじめる。
勢いをつけて。
ぎりり・・と口惜しそうに唇を噛み、眉間に深い皺を寄せる。
それでも心の中で―何故そんな事を告げる?
と呟く己がいるのを無視は出来やしない。
さぁ・・・君達の手で終わりを告げて下さい。
錆びた滑車の動き出す音が聞こえる。
カラカラ・・・カラカラ・・と。
<終わり>
え〜っと、思いっきり・・空想。
市丸もそして浦原すら・・黒幕系・・(爆)
退屈な世界を不変的なモノを流動的にと。
市丸が事を起こし、浦原が異分子を流し込み・・風波立てましょう♪て感じですねぇ〜。
ま、あとは・・その後ろに大きな黒幕がいるとな・・て感じです(笑)
あくまでも自分らですら駒だと知ってて参加してるって奴ですなぁ〜。ではv