木の葉のように
緩やかに・・






そう、ゆっくりと・・ゆっくりと・・・ハラハラと風に舞うかの様に



木の葉の様に緩やかに・・

それは彼らを蝕んで往ったのだ。





マモルヨ、ナニニカエテモ・・ナニヲウシナッテモ・・


ソレガアルカギリ・・アナタガイキツヅケレルナラ。



そんな言葉が頭の隅で響いたのは・・一体いつの記憶だっただろうか?

「ハッ・・?!」
パチパチ・・と火の燃える音、木の弾ける音でカカシの意識は浮上した。
「あぁ・・目ぇ覚めたみたいだな。丁度良い頃だ。」
少し前で身支度を整えながらゲンマが振り返った。
「ん〜?夢見でも悪かったか??」
「べつに・・。」
「ま、ならいいんだけどな。」
覗き込んできた瞳はすぐに外されて、今は遥か先をじっと見据えている。
「夜気が濃くなってきたな。飲み込まれるなよ。」
「そっちがでしょ。やれやれ・・あ〜首寝違えたかも・・。」
コキコキ・・と首や肩を回してカカシもゆっくりと立ち上がる。
目的の場所まであと2`もない。
忍の・・しかも暗部の足で行けば、そう時間も掛かることはない。

「なぁ〜ぁ、カカシ。一つよく覚えて自分で噛み砕いて欲しい言葉があるんだ。」

不意にゲンマが呟いた。こちらには振り返らずに依然と遠く先を見詰めて侭に。
「ん?何?・・説教か何か?」
「い〜や。オレも人に説教垂れれる立場の人間じゃなぇからよ。そんなんじゃないさ。

「じゃぁ、何?」
ゆっきりと振る返りながらゲンマは呟く。
【陰と陽 里と愛 カカシとイルカ イルカと鴉  そして死と守   】

「?」
僅かな沈黙の後にカカシが軽く軽口口調で呟く。
「なんでソコであの人が出てくるの?・・・いくら尋ねたって答えてはくれなかったのに
なんで・・?
・・なんで今更?!」
語尾が荒立ったのは誰の目にも明確だった。だけど、ゲンマは姿勢を崩す気配はない。
「だから・・よく噛み砕けって言ってんだよ。お前の此処とココでな。」
トン、トンと額とそれから胸の中央を指した。
「いいか。そっちのバランスが勝ってもこの答えは見えないんだ。
よく見極めろよ。」
ニッと笑って見せる。それ以上何かを言おうとしたのをゲンマは片手で制する。
「・・オレと同じ過ちを犯すな。・・二度と手の届かない存在てのがどんなモンかってのは
まだお前は知らなくっていい。」
「・・ゲ、ゲンマ・・。」
それが誰の事を指すのか痛いほどに分かるからカカシは黙らないわけにはいかなくなった。
「よし、いい子だ。んjy〜・・ぼちぼち行くぞ。」
ニッと笑うその口調からは先ほどまでの憂いに充ちた気配は霧散していた。
「全くいつまでもガキ扱いするんじゃないっての!」
この先に待つ何かがきっと自分の命運を左右するのだろう。
そう分かりつつも進まないわけにも行かずにカカシは
無心に先を行くゲンマの背を追いかけた。









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